『川崎病』という病気をご存じでしょうか?

 我が家は、子供が三人兄弟(二十歳社会人男、十七歳高校生女、四歳保育園児男 2003/03/01現在)ですが、高校生の娘が生後一歳半のとき、四歳の末っ子が2003/01/30に患ってしまいました。

 昭和42年に、小児科医の川崎富作氏によって発見された、比較的新しい部類の病気です。

 未だに、その発生原因は不明のままです。

 病名は発見者の名前からとられたモノで、地名の川崎・また同地区での環境問題とは全く関係ありません。

 全身の血管が炎症を起こしてしまう、4歳くらいまでの子供に多くみられる病気です。

 39℃前後の高い熱が出て、赤い発疹が現れます。

 だいたい10日程度続いて治ります。

 ですが、怖いのは、川崎病そのものではありません。その合併症の方なのです。

 炎症を起こしている血管に傷が出来ると、そこに瘤が出来てしまうことがあります。

 特に怖いのが、心臓の冠状動脈に瘤が出来てしまった場合、処置が遅いと致命的な結果になってしまうこともあります。あるいは、そこまでの事態にならなくとも、後遺症が残ってしまうこともあります。

 幸い、川崎病の原因は不明なものの、その対症療法は確立されています。

 諸説ありますが、その中で厳しいものを上げると、『発病から5日目以前に治療を開始した場合に後遺症が残るのは95%以下』と言われています。

 ですから、なるべく早期に治療を開始する必要があります。

 しかし...その診断が難しいのです。

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       高熱が5日以上続く

       全身に発疹が出る

       目が充血する

       唇が赤くなる

       手足がむくみ、パンパンになる。

       首のリンパ節が腫れる

 以上が、代表的な6つの症状です。

 このウチの5項目以上が該当した場合、川崎病と診断することになっています。

 或いは、該当が4項目でも、心エコーなどで冠動脈瘤が確認された場合も、そう判断されます。

 ですが、これらの症状の全てが必ず出るとは限らないのです。

 そうしたケースを『不全型』と呼びます。

 その場合、診断が難しくなってくるのです。

 では、そうした場合、何を持って診断を下すのでしょう?

 結局のところ、類似した症状の他の病気でないことを確認して、どれにも当てはまらないから川崎病だろう、と判断するよりないのです。

 はしかとの見分け方を例として上げると...

    <はしかの場合にあって、川崎病にない症状>

       はしかの場合に口腔内に出来る米糠の粉状の白い点が、川崎病では出来ない。

       はしかでは咳やクシャミが出るが、川崎病では出ないことも多い。

       はしかでは4,5日位で高熱は引くが、川崎病では10日前後続くことが多い。

       はしかでは発疹の後が茶色い痕になるが、川崎病では綺麗に引いてしまう。

こんなところが判別の材料となるようです。 

(多くの症例を診ている小児科医の場合、2,3日目の口腔内の白点・咳やクシャミの有無で、はしかかそうでないか、かなりの判断ができる様です。)

 そして、いよいよ川崎病かとなった場合、血液検査をします。(その設備のない病院に掛かっていた場合には、どこかの大きな病院を紹介してもらうことになるでしょう。いざ川崎病と診断された場合には、入院しての治療も必要になりますし。)炎症を起こしている場合、数値に変化が現れます。白血球数の増加とCRP値の増大です。はしかの場合とは、明確に異なります。(むしろ白血球数は減少する。)

ここに至って、類似の他の病気でなく、かつ、血液検査の結果から炎症データが読みとれる場合に、ようやく川崎病だと断定されます。

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 川崎病は、まだまだ一般には知識が浸透していない新しい病気です。

 また、不慣れな医師では、診断が遅れることもあり得ます。

 前述の通り、早目の治療を出来るかどうかが、合併症を起こしてしまうかどうかに関わってきます。小さなお子さんがおいでの方は、是非とも知っておいてください。

 そして、「なんだか違うな?」と感じたら、「川崎病の疑いはないですか?」と医師に確認してみてください。それが、愛するお子さんを助けることに繋がるかも知れません。

 更に、別の問題として、歪んだ知識から、川崎病を患ったことのある子供に対する差別や偏見があります。幼稚園や学校への入園・入学の際に、それを理由に拒まれてしまうこともあるようです。上でも書きましたが、後遺症の動脈瘤が出来ていなければ、日常生活にも運動にだって、何の制限もありません。普通の子と、なんら変わることはないのです。

将来、我が子達がそんな目に遭わないことを願ってやみません。

 

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